那須の行人道を行く その2

ここはシズノ平、神聖な場所。斎戒沐浴した行者はこの地よりいよいよ御宝前への登拝を行います。当方俗世界の姿のままなので、せめてはと自作の梵天を背負い通していただきました。

さて、ここから御沢を目指すのですが、皆目方向がさっぱり分からず、うっそうと茂り行く手を遮る地竹の中にルートを探すこと2度目にしてやっと踏み跡らしき所があり行ってみる。

何時果てるとも知れないこの藪コギ、勘と体力がたより、もし迷ったら確実に戻るため、ポイント、ポイントに赤布を巻いていき、しょっちゅう振り返り来た方向を確認します。(最近はピンクテープが使われますが、これは劣化し落ちると腐らないのでゴミになるが、木綿だと泥と同化します)

どうにか御沢の右岸に到達、崖を下り対岸に渡河しますが、どこから尾根に取付いてよいか分からず。ここで合流する南側の支流の方へ登ってしまう。間違い3度目です。

焦りと怖さでこの取付きポイントの写真を撮るのを失念。とにかく間違えるとどっと疲れます。しかし、”六根清浄、懺悔、懺悔” と唱え往時の行者の心を感ずれば、自ずと道は分かるのです。

灌木帯の尾根筋に至り風景を楽しむ余裕も出てぐんぐん登ります。

と、突然前方に人工物が・・・なんだこりゃ?

調べてみれば太い鉄管が通っていて、別荘地へ温泉の湯を引く湯道と分かる。スゲーものをよくも造ったなぁ。

さてと、ここから行道は右か左か真っ直ぐか??? 参考にした本の記述から作成した自前の地図を見て左(北東方向)へ湯道を行くことに決定。平坦で楽な湯道を20分位進むと・・・

途中幾つかの小沢に架かる橋があり生ぬるい温水が流れていてここが御宝前に行く沢かと登ってみるが違った。先を行けば、こんな橋に出た。温水の量が多い、ここを降りて

沢を遡行すること半信半疑の15分。

お~遂に来たぞえ、御宝前。《このあたりの御沢の渓を、また天狗谷といひ、昔は天狗が居たといふ》と90年の前の本にあります。今は上空に天狗は飛ばずジェット機が通過していきます。

 

次回はこのレポートのまとめです。