かつて立川飛行機では陸軍の二枚羽練習機・赤とんぼを含む意欲的な飛行機を沢山製作しました。
画像は最近NPO立航博が入手した 『木製戦闘機 キ106』 (田中和夫 著 江別市教育委員会発行) です。 この木製戦闘機は昭和18年、陸軍がアルミ材不足の状況に対し 『戦闘機・疾風』 の木製化を立川飛行機に命じ生産は北海道の王子製紙ほかで行われました。 この様子が書かれたこの本は平成4年初版が出版されましたが、良くぞこのような本を編纂され世に出してくれたと感謝いたします。 巻頭では 《木製戦闘機・キ106を生み出した、燃える時代があったことを忘れてほしくない》 開墾した土地を勝利を願い国のために提供した多くの人たちに思いを馳せることも大事なことと述べられています。
キ-106 のキは機体キ、搭載エンジンのハ-45のハは発動機のハ。 木製機はイギリスのモスキート機が有名ですが、日本では低翼単葉 (一枚羽) 練習機キ107がキ106より少し前に完成しています。 キ107の設計者は井上真六さんです。 立川市内にお住まいで何度かお尋ねしてお話を伺ったことがあります。 飛行機設計に尽きぬ情熱を注いだ当時の話をしていただき頭が下がりました。
下はNPO立航博が行った、終戦時アメリカに送られたキ106の追跡調査?・・・で得た資料の一部です。 この1976年の記述によればVICTORY AIR MUSEUM で不完成状態での静的展示、製造番号などは不明となっています。 上記博物館は既に見当たらず真相は分かりません。 また 『木製戦闘機 キ106』 の記述ではイリノイ州グレンビュー海軍航空基地で解体となっています。